テレビでは言えない税務調査の裏側を暴露!
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チュートリアル徳井さんへの税務調査の状況は、報道によると、
- 2018年12月にチュートリアル徳井さんの会社(株式会社チューリップ)が東京国税局から税務調査を受ける。
- 株式会社チューリップは、徳井さんの一人役員会社で吉本興業からのギャラを受け取る会社。
- 税務調査による追徴税額は、加算税を含めて約3,700万円
- 直近3期分が無申告で申告漏れ額は、約1億2千万円
- 古い期の個人的な支出の約2千万円が所得隠しと認定された。
- 徳井さんは、株式会社チューリップから役員報酬を受け取っていたが、この個人の所得についても無申告だった。
税務調査では、旅行代などの個人的な支出を会社の経費に計上したとして、4年間におよそ2100万円の所得隠しを、去年までの3年間は、税務申告を全くしていなかったとして、1億1800万円あまりの申告漏れを指摘されたということです。
引用元:「NHK NEWS WEB」
一般の人から見たら、よくある脱税の報道と一緒だと感じたかもしれません。
しかし、元国税として税務調査の現場にいた人間からすると、「マジで?」というかなり驚きの内容でした。
非常に不可解な税務調査の結果!
所得隠しと認定された約2千万円の内容は、洋服代、アクセサリー代(時計など)、海外旅行代などが徳井さんの個人的な支出として、会社の経費として認められなかった、というものです。
「所得隠し」とは、追徴された税額の35%が「重加算税」として追加で課される非常に重たいペナルティーです。
「重加算税」は、納税者が「仮装・隠蔽」行為によって不当に税額を減少させた場合に課されるものです。
しかも、少額でも重加算税が課せられると、しばらく税務署のブラックリストに載ってしまいます。
しかし、この個人的な支出に重加算税が課せられた、というところが税務調査の現場を知っている人間からすると非常に不可解なものでした。
実は、今回のような個人的な支出に重加算税がかけられるのは非常に希なケースです。
個人的な支出に重加算税がかけられるのは、例えば、請求書や領収書の品代の名前を書き換えたり、金額を書き換えたり、まったく架空の領収書を作った場合です。
こう言った場合は、間違いなく重加算税がかけられます。
しかし、書き換えのような小細工をせずに、本人に
「仕事に使うつもりで買った」
「仕事に関連して旅行に行った」
と主張されると、重加算税をかけることは難しくなります。
なぜなら、本人が経費になると思い込んでいただけなので、法律上の「仮装・隠蔽行為」は存在せず、単に国税との「見解の相違」で終わってしまうからです。
徳井さんの記者会見を見る限り、重加算税がかけられるような「仮装・隠蔽行為」はなかったのではないかと思われます。
ではなぜ、本来、重加算税が難しい部分に、重加算税がかけられたのか?
しかも、金額が2千万円超という高額な部分に重加算税がかけられたのか?
そこに今回の不可解さがあります。
そして、そこにこそ、今回の事件から読み取れる税務調査の真実があります。
表には出せない税務調査の裏交渉とは?
今回、表には出せない裏の交渉があった、と強く推測されます。
このあたりは、税務調査の現場にいた人間にはよくわかります。
実は、直近3期分を申告しなかったという部分にこそ「重加算税」の可能性があったのではないかと考えられます。
ところで、「重加算税」の基準については、国税庁の内部文書「事務運営指針」の中で、ある程度明確に書かれています。
法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)
国税庁HP「事務運営指針」
第1 賦課基準 (隠蔽又は仮装に該当する場合)
(中略)
例えば、次に掲げるような事実(以下「不正事実」という。)がある場合をいう。
(略)
(2) 次に掲げる事実(以下「帳簿書類の隠匿、虚偽記載等」という。)があること。
(略)
3 帳簿書類の作成又は帳簿書類への記録をせず、売上げその他の収入(営業外の収入を含む。)の脱ろう又は棚卸資産の除外をしていること。
この「重加算税」に該当する場合の事例に明記されているように、通常の税務調査では、
「収入が明らかなのに帳簿に記載しなかった」
という場合は重加算税をかけてきます。
この事務運営指針は、国税庁という上級官庁から各国税局・各税務署への「お達し」なので、現場の国税調査官はこの事務運営指針に則って仕事をしないといけません。
つまり、 国税調査官にとっては強制力があります。
なので、今回のように、吉本興業からギャラが銀行振込されていて明白なのに、申告しなかったという場合は、通常は、国税は重加算税を取りに来ます。
ただし、無申告の場合は、多少の事情を考慮して、例えば、赤字で経理する余裕がないとか、災害で申告する余裕がなかったとかは重加算税をかけたりしません。
しかし、今回の徳井さんの場合は、収入が年数千万円と非常に大きく、税理士もついていたにもかかわらず申告しませんでした。
申告しなかったことに対して税務署は、「申告するように」と何度も連絡したはずです。
無申告の場合は、税務署は申告を促さないといけないからです。毎年毎年、かならず連絡していたはずです。
それなのに申告しなかったというのは、無申告に対して重加算税をかけられてもおかしくありませんでした。
国税局の弱みとは?
ただし、事務運営指針は、あくまで国税庁の内部文書であって、法律ではありません。
そのため、事務運営指針どおりに重加算税をかけても、裁判では国税が負ける場合もあります。
裁判では、きちっと個別の事情に照らして法律を摘要しますので。
今回のような、無申告の場合は、国税的には事務運営指針があるので重加算税と考えますが、裁判では、「隠蔽行為」という徳井さん側の積極的な行為を判定します。
ですので、裁判まで争わないような通常の税務調査では、重加算税を取りますが、裁判になりそうな場合は、国税はより慎重になります。
今回の場合は、無申告の1億2千万円について、徳井さん側の積極的な隠蔽行為があったかというと、そこまでの客観的証拠は見つからなかったのだと思います。
ですので国税は、1億2千万円について重加算税を取りに来るという冒険はできなかったのだと思います。
ヤクザのような裏交渉
「無申告の1億2千万円からは重加算税が取れない」
ということがわかって国税はどう考えたか?
「じゃあ、この古い期の個人的な支出については、重加算税を飲めますか?」
みたいな交渉があったのだと思います。
もちろん、国税は、「無申告の1億2千万円から重加算税を取れない」という話は徳井さん側にはせずに、
「1億2千万円についても重加算税を検討している」
「場合によっては査察部が動いて、無申告ほ脱罪で刑事告訴する可能性もある」
というような言い方で徳井さん側を脅し続けたと思います。
1億2千万円と2千万円では、追徴税額がえらい違いますし、下手に拒否して査察が来たら大変なことになる、と相当ビビったと思います。
徳井さん側は、無申告を何度も繰り返すほど、ダメダメなのですから、国税からの脅しが真実味があるかどうかの検討も、まともにできなかったと思います。
国税としては、2千万円だけでも所得隠しとして重加算税が取れれば、それでいい、と考えたのだと思います。
通常は、個人的な支出の経費への漬け込みに対しては、重加算税を取ることは難しいのです。
しかし、徳井さん側が、
「個人的な支出だとわかっていたけど、税負担を免れるために、あえて法人の経費に漬け込みました」
という証言をして、聴き取り調書(質問応答記録書)に署名押印をすれば、それが仮装・隠蔽行為の証拠となり、重加算税をかけることができるようになります。
徳井さん側としては、1億2千万円に重加算税がかけられるよりは、2千万円に減額されるので、メリットがありました。
さらに、国税と争うことは、芸能人という立場からしても極力避けたかったのだと思います。
そして、国税側としても、金額は減るけど、裁判で負けるリスクを回避して、2千万円に重加算税がかけられれば、国税としての面目が立つと考えたのだと思います。
両者が納得できる落としどころができたので、今回の結果になったと推測できます。
これが税務調査の真実です!
実際にこのような内容の裏交渉があったかどうかは、裏付けを取ることはできません。
しかし、これは、税務調査の現場では、日常茶飯事のように行われていることです。
所得隠しかどうかは、かなりグレーゾーンの部分が大きいので、国税としては、うまく交渉を運び、納税者を納得させる必要があります。
その際には、納税者を落とすために(あきらめさせるために)、色々な方法を使って交渉(実際には脅しのようなもの)をしてきます。
恐ろしいことですが、これが税務調査の真実です。
チュートリアル徳井さん事件から何を学ぶか?
今回の件で、みなさんに学んでいただきたいことは、国税はこのように相手の弱みを見つけ、場合によっては脅しを使って巧みに交渉してくるということです。
言葉は悪いですが、国税は納税者の足下を見て、弱みにつけ込み、自分たちに有利な落とし所で決着するように交渉してきます。
「切った張った」の世界です。
そういう意味では、国税は「公のヤクザ」です。
実は私も現役の国税調査官の時は、
「自分たちってヤクザだな〜」
と思ってました(汗
たとえ、国税が公のヤクザであったとしても、日本のためになっていればいいんですが、そうではない場合もあるのが問題です。
国税のメンツのために正義がねじ曲げられ、国民が不利益を被ることもあります。
また、国税調査官の個人的出世欲のために納税者が不利益を被ることもあります。
『節税の本質』を理解することが重要
国税と私たち納税者とでは、持っている権限に大きな差があるし、情報量の差もあります。
私たち納税者は、もっと賢くなり、国税の本音を知り、きちんとコミュニケーションを図っていく必要があります。
まずは、しっかりと相手(国税局、税務署、国税調査官)のこと、彼らの本音を知りましょう。
怖がらずにコミュニケーションを取り、おかしなことには、きちんと「おかしい!」と声を上げましょう。
それが結果として、日本が良くなり社会が良い方向に変わっていくと思います。
今回もありがとうございました。